【第6回大学院特別講義】エスノグラフィとデザインのみらい
今回講義をしてくださったのはPARC(パロアルト研究所)・日本代表/シニアリサーチャーの伊賀聡一郎さんです。
概要
伊賀さんはインタラクションデザインやエスノグラフィーのビジネス応用を専門とし、「誰のためのデザイン?」で有名なD,Aノーマンの著書翻訳を行っています。
今回伊賀さんは自身の事例のほかに私たちにワークショップを通してエスノグラフィとはなにか学びました。次の事例とともにワークショップを紹介します。
事例
「PARC」
・IT技術の基礎を発明している研究所
・イノベーション、ハードウェア・ソフトウェア、イノベーションサービスなど様々な分野のグローバルビジネスを提供している。
「エスノグラフィ」
・人類学や社会学で使われてきた調査手法
・エスノ(民族)+グラフィ(書かれたもの)
・民族や風習などを表際に観察し、そこで何が起こったのか記憶する手法
エスノグラフィワークショップ
方法
・二人組を作りAとBに分ける。
・Aの人は数分間表示される写真を絵を書かずに言葉だけを記録し書く。
・Bの人は写真を見ない。Aの人が書いた言葉だけで写真を想像して描く。
わたしはAだったため表示された写真をもとに以下のように示しました。
*赤文字はBの人が絵を書いた後に指摘した言葉です。
Bの人は上の言葉から以下のように絵を書きました。
お手本の写真は見せられないのですが大体その通りに描いてくれました。
しかし上の指摘のようにBの人が悩みながら書きたまたま想像したことが一致したようにも見えます。とくに虫とも間違える「くも」はほかの言葉でバルコニーにいる→外にいる→天気の雲だと連想しながら書いたことがわかります。
このように人と人通しだと感情などである程度通じ、多少の分からないことも臨機応変に想像し通じることはありますが、人と感情のない技術(機械)の場合だと難しいことがわかります。以下の事例があります。
・40年以上前に行われたエスノグラフィ(ユーザーテスト)ではコピー機で両面印刷を行う。
・しかし両面印刷の仕方がわからないまま終わってしまった。
・実験者の中には有名な研究者もいたがコピーができなかった。
このような事例から人と機械の間ではインタラクションは大事であり人との場合でもいかに相手に伝えられるかが大事であることがわかりました。
まとめ・感想
伊賀さんは私たちにデザインのみらいについて考えて話し合う機会をもらいました。そこで私たちのグループはデザインは将来環境によってデザインは未来にはなくなるのではないかという意見になりました。
伊賀さんは私たちが言っていることは大体当たると言いました。
それらの現状、何が起こっているかをよく理解し記憶するのがエスノグラフィです。
対象となる人から何がみえているのか理解する。それは簡単そうに見えて以外と難しいことだと思います。実際に人は思い込みによって成立しているデザインも多数あるからです。
それらのデザインをリフレームすることが未来のデザインになるのではないかと考えました。